マレーシアのメイド事情とビジネスチャンス
「メイド」って単語を聞いて、何を思い浮かべますか?メイドカフェ、家政婦、女中さん、お金持ちなどでしょうか。
マレーシアでは、使用人としてメイドを雇うことは珍しくありません。中・高所得階層の大半がメイドを雇っています。
メイドは大きくふたつに分類されます。
① 通い
- マレー系が大半
- 月1万5千円が相場
- 週2回、2〜3時間
② 住込み
- インドネシア(マレー語が通じるから)、フィリピン出身が大半
- インドネシア出身は月2万円、フィリピン出身は月3万円〜4万円が相場
- 大半が上限なし、例えば8:00〜23:00(15時間)、月30日と計算すると、時給約100円未満となる
- 備え付けられているメイド用の部屋とメイド用のトイレ・シャワーを利用
- 食事、食材は別
- パスポートを預かる
- 休日みは雇用主と相談、原則ない、有給休暇なんぞもちろん認められていない
どちらも、掃除、洗濯から子守りまで家事全般を担います。
共働きが多いアジアでは、メイドの需要が高く、自国より少しでも収入が高い他国へ渡り出稼ぎにくる。
聞くところでは、フィリピンの女性がマレーシアに来たい場合は、cleaner jobなどのカテゴリのメイドビザを取得することはできるが、waitressなどのビザは男性に限られており、基本的には女性は取得できない。ちなみに彼らは自国の大学を卒業している。仕事は学歴でなく何のビザかで決まる。またビザ取得にあたり、自国のエージェントに多額な借金をして出国し、他国へ来ても他国のエージェントにも費用が発生し毎月の収入から大きく引かれていく。中では両国のエージェントフィーをさし引かれた後の収入は自国で働いた場合とあまり大差ないという声もある。それでも多くの労働者が他国へ流れてくる。
世界に家事労働者は6,000万人いるうち、地域別ではアジアが一番多く、全体の40%を占めると国際労働機関(ILO:)が発表している。マレーシアの人口(2,800万人)をやや下回る計算になる。(*)
メイドたちは毎月の収入を、15〜30リンギット(約450円〜900円)の海外送金手数料を払って家族へ仕送りしている。
世界銀行の「移民送金レポート」によると、移民労働者による送金額(2012年)は、4,060億ドル(約33兆円)。年々増加しており、2015年には5,340億ドル(約44兆円)を超えることを予測している。ちなみに、フィリピンだけでも260億ドル(約2兆円)が流れている。(**)
先進国にある最近のオンライン家事代行サービスをベースに、この「人の流れ」と「お金の流り」をうまくデザインできれば、そこには大きなビジネスチャンスが眠っているだろう。
参考資料
(*) Domestic workers across the world (ILO)
http://www.ilo.org/travail/Whatsnew/WCMS_173363/lang--en/index.htm
(**) Migration, Remittances, and diaspora (World Bank)