最近町中で中国人をよく見かけるなと思った人が読むべき、中国に関するおすすめの7冊
増える中国人
日本を訪れる中国人が増えています。2014年1月から11月に日本を訪れた中国人は222万人です。*1 2013年は131万人でした。*2 この数字はビザ発給要件の緩和とともに、さらに増えていくと思います。
年を追う毎に豊かになり、訪日経験がある中国人が増加する一方、訪中経験がある日本人はまだまだ少ないように感じます。また、中国に対する理解度も深まっているようには感じられません。
中国は行ってみないとわからない
中国ほど、日本のメディアを通して形作られる国と、現実が乖離している国はないと思います。実際に現地に行ってみて、現場を知ることでしか、中国はわからないと思います。
とはいえ、まったくノーアイデアで中国に足を踏み入れるより、書籍を通じて事前知識があったほうが、学ぶことも多いです。さらに中国語が出来れば、中国はより一層楽しくなります。
中国は日本とは全く違う国
中国人は顔立ちも日本人と似てる。日本は漢字をはじめ昔から多くのものを中国から取り入れてきて、文化的にも近い。地理的には、東京から上海まで飛行機で2時間と近いです。
しかし、中国は日本とは根本から全く違う国です。
この点を理解していないまま中国に行くと、高い確立で痛い目にあいます。リスクマネジメントとして、書籍を通してちょっとでも中国を知っておくといいかもしれません。
そこで、中国に興味を持ったひと、これから中国に行く人、中国・中国人を理解したい人にオススメの本を、以下のトピック別に紹介します。
- 中国語
- 共産党
- 中国ビジネス
- 中国の歴史
- 中国の歴史(番外編)
- 中国とはどういう国か
- 上海総領事がみた中国
中国語
まずは中国語関連。僕は日本人にとって、中国語ほど習得が簡単な外国語はないと思います。中国は漢字の国。漢字を中国語発音することはできなくても、文字を見ればなんとなぁ〜く意味が分かる。NewYorkTimsをみても、文字を追って読まないと意味はわからない。その点中国語は漢字なので、パッとみてなんとなく分かる。これが出来るのは、数ある外国語の中でも、中国語だけ。
「中国語簡単だよ!」っと言っても必ず、「発音難しいでしょ中国語」とみんな言う。だけど、「発音難しいから英語習得無理ッス」なんてことはあまり聞いたことがない。
英語だって実は発音難しい。apple, lunch, swan, father, farm, womam。日本語で書くとこれらは全部「ア」ですが、それぞれ異なる。
いつの間にか中国語は発音が難しい、というのが定説になってしまい、「中国語無理ッス」という決めつけになっているのだと思う。
日本人は発音至上主義者的な人が多い。ネイティブな完璧な発音なんぞ、大人になってからはムリ。発音は通じればOK。外国語はそんな気持ちで向きあえば楽しくなるんでないかと。
じゃ、中国語ちょっとやってみよっかなぁ、という人にオススメなのがこの本。ざっと読めば、中国語とはなんぞやみたいなのが分かる。これをキッカケとして、中国語学習をはじめるの◯。
■内容
ことばから知る、おとなり中国の素顔
これからは母国語と英語と中国語のトリリンガルの時代です。本書は、中国語教育の第一人者 相原 茂先生による、文化とコミュニケーションを意識した中国語の「超」入門書。はじめて中国語を学習する人、カンタンにことばの基本を理解したい人に最適の一冊!
共産党
「共産党」と聞いて、うわっと思う人多いかもしれないが、その「共産党」とはなんぞやを説明出来る人ほ少ないです。実態が知られていないから、 それもしょうがないのかもしれないですが。
中国では、生活のあらゆる場所で、「当局」を感じて生活することになります。
- アクセスブロックされている無数のウェブサイト
- 政治経済トピックに口を閉ざす人々
- 驚くほどに多様性がない意見
- 自分の本心なのか、外国人向けに用意した仮のモノなのか判断がつかない意見
- あらゆる場面で遭遇する賄賂
- やたらと羽振りがいい若者
- 遅々として進捗がない勝ち目がない裁判
などなど中国で発生するとてつもなく多くの物事が元をたどると当局に行き着きます。それは当たり前なのかもしれません。中国という国家システムすべてが共産党の手のひらの上で動いているものだから。
中国に少しでも興味がある人全員にこの本をオススメします。
■ 内容
政府、軍、ビジネス、言論。中国共産党の指導は中国のあらゆる分野に及ぶ。ますます力を強め、驚異的な経済発展をもたらし、いまや世界をも動かす中国共産党。その方針を決めているのはたった9人の政治局常務委員だ。中国報道のベテラン・ジャーナリストが、秘密のベールで隠された最高幹部たちの人物像、党の支配の実態を初めて明らかにし、英『エコノミスト』誌ブック・オブ・ザ・イヤー2010に選ばれた最新の「中国共産党研究」!
中国ビジネス
アメリカ大学時代に、中国政治経済の授業を履修していました。そのクラスの必読本の一冊がこの「Mr. China」です。毎回予習で一章読み、授業でディスカッションし論文を書くという宿題でした。授業のはじめにコールドコールで教授から突然指名され、内容のサマリーを発表しろと言われるので、いつもビクビクしていた覚えがあります。
この本の舞台は90年代初頭の中国です。20年経った今ではだいぶ環境が改善されていると思いますが、中国の根本はあまり変わっていないと思います。中国でビジネスをしていると、「ありえない」ことは日常的に発生します。そんな「ありえない」ことを書籍を通して知っていることで、いくらかショックが和らぐのではないかと思います。
すいません。うそです。気持ち程度で、やっぱりショック受けると思います。
■内容
一九九〇年代初め、改革開放に沸く中国に二人の外国人が降り立った。ウォール街で鳴らした投資銀行家パット、中国語が堪能でアーサー・アンダーセン勤務のティム。二人は野蛮な資本主義へと突き進む中国の熱気と、集まる金の匂いに魅了されていた。ウォール街の人脈と知識、そして西洋的経営センスさえ持ち込めば、中国で大成功できる。パットはアメリカの富裕層から金を掻き集め、ティムは投資案件探しに中国を飛び回る。4億ドルの投資ファンドを立ち上げ、中国を代表する男を目指したビジネスマンたちは、しかしやがて、中国ビジネスの闇の部分に足を掬われていく…。うごめく大金、群がる投資家、腐敗した共産党幹部、裏切りの連続…。ウォール街の投資家が体験した中国ビジネスの闇。
中国の歴史
おなじみ池上さんの一冊です。歴史は必ずインプットしておいたほうがいいです。日本の歴史教育では、太平洋戦争以降は駆け足でさらっと流す程度で終わってしまい、学校教育だけでは、中国で話題になるような時代の歴史知識はかなり薄いと思います。
ネアンデルタール人や卑弥呼なんぞ全部すっ飛ばして、近代歴史にもっと時間を注いで欲しいと思うのは僕だけなのでしょうか。アメリカ大学時代に、韓国人や中国人と歴史の議論になったときに、自分の歴史知識のあまりの少なさに恥ずかしくなり、日本帰国後歴史本を読みあさっていました。
中国人、特に若い世代は徹底的な反日教育を受けて育っています。日中の歴史背景を頭に入れておき、「いやいや。おれはこう思う。」という自分の意見を持っておくとベターです。言われっぱなしは悔しいです。
そうだったのか! 中国 (そうだったのか! シリーズ) (集英社文庫)
- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2010/03/19
- メディア: 文庫
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中国の歴史 番外編
上海移住のきっかけとなった経営者の人がすすめてくれた一冊がこの本です。アヘン売買で中国大陸の日本軍を支えた人の一生を書いた本です。舞台は上海。
すでに絶版となっており、中古本しか買えません。
■内容紹介
アヘン売買で、中国大陸の日本軍を支えた男。
中国に進出した日本陸軍の軍資金の一端は阿片の売買で賄われた。その中心的人物が阿片王と呼ばれた里見甫。米進駐軍の取調べを軸に、日本陸軍の中国大陸で犯した罪が明らかになる。
中国とはどういう国か
上海の日本総領事館勤務の事務官が2004年に自殺しました。
「一生あの中国人達に国を売って苦しまされることを考えると、こういう形しかありませんでした」、「日本を売らない限り私は出国できそうにありませんので、この道を選びました」
この本の著者は自殺した事務官とは外務省で一緒に働いていたこともあるという。上海総領事館員自殺事件をヒントに書いた本です。
事務官は日本人向けのカラオケで出会ったホステスと仲良くなった結果、中国公安のハニートラップにかかったといいます。そのカラオケの名前は「かぐや姫」。ちなみに、つい最近まで同じ場所で同じ名前で営業していました。
この本では中国の少数民族についても語られています。中国の少数民族の歴史や社会背景などはほとんど報道されません。新疆ウイグル自治区やチベット自治区で何が起こっているのか。そんなトピックに興味を持つキッカケにもなりえる一冊です。
■内容紹介
中国内乱へのカウントダウンを描く超大作!
危うし!2008年北京オリンピック――「上海日本総領事館員自殺事件」をヒントに、中国自滅への道を克明に追ったサスペンス・ロマン。『プラハの春』の人気作家が国際的スケールで描く中国の悪夢。
■著者からのコメント
中国公安によるハニートラップにはまったと言われ、ついに自害して果てた上海総領事館の電信官と私(春江一也)は、かつて外務省で机を並べたこともある友人だった。その彼の御霊に捧げるため「鎮魂歌」として、私はこの小説を書いた。
上海総領事が書いた中国本
上海総領事館員自殺事件のとき、上海総領事であった方が書かれた本。興味ある人はぜひ。この本も絶版となっていますが、Kindle版は購入できます。
■内容
現代中国をどう認識し、どう対応するのか、日本の対中外交はいかにあるべきか----上海総領事であった著者が、末期がんの病苦をおして書き上げ、2006年に刊行されるやベストセラーとなった本書。中国の実態を鋭く抉って各界の絶賛を浴びたその内容は、文庫化にあたっていささかも古びることなく、むしろ現実の方が本書の議論を前提に進行している感さえある。
外交官としての長年の中国勤務の体験をもとに、実際に担当し、かつ現地で見聞した情報を踏まえた叙述には、視点の鋭さと深さ、説得力がある。政治・経済・外交・軍事から農村問題に至るまで、"現代中国の真実の姿"を幅広く見極めようとする著者の真摯な思いが行間から伝わってくる。
2004年5月の上海総領事館員自殺事件の折、総領事として部下を守れなかった無念から本書を執筆したという著者。"近くて遠い隣国"との付き合いを考える上で、思わずハッとさせられる示唆に富んだ好著である。