マレーシアのビール市場
一年中ビールが美味しいマレーシア。
そんなマレーシアにビール会社は2社しかありません。正確には2社が市場の95%のシェアを占めています。
今回はマレーシアにおけるビール市場の動向と、メジャープレイヤーである2社、GABとカールズバーグについて調べてみました。
マレーシアのビール市場の動向
大半のマレーシア人(主に中国系とインド系、ごく一部マレー系)が同僚や友達とお酒を飲みに行く場合、ビールを好んで飲みます。
レストラン、バー、パブが提供する「タワー」と呼ばれる3Lのビールや
「バケツ」と言われるボトルビールのプロモーションが狙いだ。
ここ数年では、輸入ビールも増えています。HoegaardenやErdingersのような小麦ビールが人気を集めています。
マレーシアの輸入ビールは大半がシンガポール(29%)、続いてオランダ(23%)、中国(11%)、ベルギー(5%)から輸入しています。
プレミアムビールとしてアサヒやサッポロも参入し日本ブランドを高めています。アサヒはカールズバーグの販売網を活用し、「スーパードライ」の販売を拡大しています
日本食レストランではサッポロも見かけるようになりました。
プレミアムビール市場はまだまだ入る余地があり今後益々競争が激しくなることが予想されます。
GAB(Guinness Anchor Bhd)
GABは、GuinnessやKilkennyなどのブランドをもつイギリスの会社「Diageo PLC」とTigerやAnchorのブランドをもつシンガポールの会社「Heineken Asia Pacific Pte Ltd」のジョイントベンチャーとして1989年に設立されました。
GABはマレーシアのビール市場で48%のシェアを確立しています。(2012年時点、出所:Euromonitor)
商品ラインアップは、マレーシアで一番親しまれるTigerをはじめ, Guinness, Heineken, Kilkenny, Paulaner, Anchorなどのブランドを持っています。
Anglia Shandyなど、1%ほどほんのりアルコールが入ったビアカクテルも取り扱っています。
2008年の純利益はRM126 millionであり、2011年にはRM181millionと13%近くの成長率(CAGR)。その背景には、TigerやGuinnessブランドの大々的な販促活動があります。
2012年に行われた「Tiger Asian Music Festival」のマーケティングキャンペーンや、「St.Patrick’s Day Celebration」は15,000人が参画しアジア最大のギネスイベントになり大成功をしています。
興味がある方は一緒にGAB工場見学ツアーに行きましょう!
カールズバーグ (CBMB:Carlsberg Brewery Malaysia Bhd)
CBMBは1969年に設立、1972年から現地でカールズバーグのグリーンラベルを醸造開始。
カールズバーグは「Carlsberg Green Label」をはじめ、「アサヒスーパードライ」「Corona Extra」「Hoegaarden」「 Stella Artois」「Budweiser」など様々なブランドを持ちます。
マーケティングとして、春節(CNY)、サッカー(Barclays Premier League)、ゴルフ(Carlsberg Golf ClassicとMalaysia Maybank Open)など、カールズバーグも積極的な販促を行っており、4年連続「Putra Brand Awards」の金賞を取得しています。
カールズバーグはRM10 millionを経営情報システム(MIS)に投資し、販売流通チャネルや在庫管理システムの改善をしました。
GABと比較すると業績面では改善の余地が見受けられます。
最後に
イスラム国家のマレーシアでは、イスラム教徒によるアルコールの販売は宗教上禁じられており、アルコールを販売した場合、罰金RM5,000と懲役3年が処せられます。
その一方、中国系やインド系、外国人駐在員はビールを大量に楽しんでおり、World Health Organisation (WHO)によると、世界アルコール消費者ランキングには10位内と発表されています。多額な税金が課される中、プレミアムビールが今後どう動くのか楽しみです。