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日本語が日本を衰退させる

「日本語が日本を衰退させる」

そんなタイトルの記事を以前読んだ。

日本は戦後、世界でも稀な経済成長をとげ、アジア諸国の中でいち早く先進国入りした。日本の中間層が厚く、平均的な知的レベルが高いことの要因の1つとして、自国語で読める書物が多いことがあげられる。

 

マレーシア、タイ、インドネシアなどアジアのほとんどの国では、専門書などは翻訳されているものが少なく、英語で読むしかない。そのため英語ができないと学問ができない。社会学、経済学、金融、物理学、化学などの分野の専門用語も自国語に翻訳されずに、英語をそのまま使う。

 

海外の本が日本語で読めるから、英語を読む機会、及び必要性が少ないことが、日本人の英語力の低さにつながっている。

そんな内容だった。禿同である。

日本語翻訳本という選択肢が生む皮肉な結果

先日友人の結婚式に参列するために、中国から日本に帰った。結婚式2次会の後に泊めてもらった友達から、一冊本を借りた。タイトルは、Michael Lewis著の「The Big Short」。翻訳本ではなく、英語の原書である。

The Big Short: Inside the Doomsday Machine

The Big Short: Inside the Doomsday Machine

 

このアメリカ大学時代の友人の彼は、10歳の時、オーストラリアに留学し、小中高をオーストラリアで教育を受け、アメリカの大学を卒業したという帰国子女である。今は自然であるが、彼ほど不自然で不思議な日本語を話す日本人はいなかった。そんな海外で教育を受けた彼は、英語で読むほうが早いのだろう。

この「The Big Short」も「世紀の空売り」というタイトルで翻訳され、日本で販売されている。もし僕が日本に住んでいて、容易にかつ低コストで翻訳本を手に入れられる状況であれば、果たして、300ページ以上ある英語の本を完読しただろうか?極めて怪しい。

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

世紀の空売り―世界経済の破綻に賭けた男たち (文春文庫)

 

まさに東南アジアの知識層と、中国在住で、日本語の本へのアクセスが極めて悪い僕の状況は、奇しくも同じである。Michael Lewisおもしろい!と思い、英語の本を続けて読むか、それともアマゾンで日本語翻訳本を買って読むか。良くも悪くも、日本語翻訳版が読める選択肢があるという状況が、日本人の英語力が低いという事実をさらに強固なものにしていると思う。

東南アジアでビジネス経験を積む

日本語という島国言語を使いこなし、裕福で頭の良い日本人が、せっせと海外の情報を日本語に訳し、読みこなしていく。結果、英語を読み込む努力をしなくなった日本人が、力を付けた新興国のアジア諸国に追い抜かれていく。

島国日本から出て、東南アジアなどの現地に足を運ばない限り、東南アジアのエリート層がネイティブ並に英語を操り、グローバルにビジネス展開をしている事実は、肌感覚としてわからない。